地獄建て・正藍染め
~藍が染まるまで~
地獄建て・正藍染め
藍の乾燥葉を発酵させ堆肥状 にした蒅(スクモ)と
木灰の灰汁のみを甕の中に入れ 醗酵させながら
少しずつ嵩を上げて染液を作ります。
色が染まるようになる(藍が建つ)まで、添加物を
入れずに仕上げる技法を「本建て」や「地獄建て」
と呼びます。嵩上げ終了後、発酵・発色を維持するため 菌の餌となる貝灰や青森県産無農薬栽培の 小麦のフスマを適時加えます。
藍建てに石灰、日本酒、蜜や黒糖、ブドウ糖等は 一切使用していません。 pH調整はせずに、攪拌もほとんどしません。 表面に「藍の華」はありません。 薄い色がクリアで美しく、色落ちしづらく色移りが
無い堅牢度が高いのが特徴と言われています。
2.地植え・栽培
4月下旬~5月上旬に苗を畑に地植えします。
苗が小さいうちは水やりに気を付けながら
約3カ月間大きく育てます。
4.天日干し・藍粉成し
数日間天日に晒して完全に乾燥させます。
紺色の枯葉になります。葉だけを使用する為
茎から葉を削ぐように取り外します。
これを藍粉成しと呼びます。
6.蒅(スクモ)作り
細かく砕いた乾燥葉を山にして水を打ち発酵
させていきます。2カ月以上水打ちと切り返しを繰り返して発酵を促します。
発酵すると発熱して60℃以上になります。
発酵が終わったら天日干しして藍染めの原料
「蒅」の完成です。
8.藍建て
藍の染め液を作る事を「藍建て -あいだて-」と
呼びます。
Snow hand madeは地獄建ての為、藍が建つまでに
必要な物はリンゴ灰の灰汁とスクモと撹拌棒のみ。
スクモを灰汁でよく練った後に10日ほどかけて少しずつ嵩上げしながら発酵させていきます。
スクモは発酵しなければ全く色は出ません。
発酵しやすい環境作りがキモとなります。
藍が建ったあとに小麦のフスマや貝灰を入れます。
微生物の働きを良くする餌のような感覚です。
10.完成
重ね染めを終えたら、しつこいくらいの水洗いをし
天日干しします。
よく天日で焼いたら最後に灰汁抜きをして雑味を
抜いて完成となります。
正藍染めならではのクリアな青色になりました。
工程1で蒔いた種が染まるようになるまでに1年以上の時間が必要になります。
1.苗づくり
まだ畑に雪の残る4月上旬に育苗トレーに種を
蒔きます。野外はまだ霜が降りる為、ウチでは
風除室内で約1カ月間育てます。
Snow hand madeでは「千本」という品種の藍を
2016年から自家採種して繋げています。
5.二番刈り
一番刈りをした後に追肥をして、もう一度
大きく成長させます。
秋になり刈り取りをし、藍粉成しまで夏と
同じ工程を繰り返します。
種取り用に刈り取らず一画残します。
7.灰作り・灰汁作り
藍甕(あいがめ)の中の液体はすべて灰汁です。
灰汁とは熱湯に木灰を入れ撹拌したものの上澄み
液の事です。ミネラル豊富な強いアルカリ性の液体になります。
そのため春先にはチェーンソー持ってリンゴ畑で
剪定・伐採し、夏前には薪割り。冬にストーブで
薪を燃やし灰を取る。篩にかけてサラサラの灰で
保管します。
9.染め
ようやく藍染めができるようになりました。
灰汁に浸けた生地を藍甕の中へ浸していきます。
空気を入れないようにそっと入れます。
「灰汁→染め→洗い→天日干し→洗い」
このセットを重ね染めの回数だけ繰り返して染めていきます。
藍の強さ、浸す時間、回数などで色味を調節して
目当ての色を出していきます。
この技法の特徴は甕の寿命が長い事です。
後半は下染めや淡い色を染める専用になりますが、2年以上使うことが出来ます。